新潟県・南魚沼市消防本部と「山岳遭難時の捜索活動に関する連携協定」を、令和7年 8 月28日(木)に締結しました。
山口県消防防災航空隊と林野庁近畿中国森林管理局・山口森林管理事務所とともに、森林管理職員の皆さんの安全確保を目的に、ココヘリ発信機を用いた実践的な捜索・救助の訓練を2025年8月26日に実施しました。
9:30 拠点集合・ブリーフィング
参加者は「国立山口徳地青少年自然の家」に集合。近畿中国森林管理局職員、航空隊員、ココヘリスタッフ、報道陣など、計40名が一堂に会し、発信機のセッティングや訓練の目的、安全上の留意点が説明されました。
10:20 航空隊ヘリ離陸
赤と白の機体が青空に映え、ゆっくりと高度を保ちながらホバリング。ローター音が周囲に響き渡り、参加者の視線が一斉に空へと注がれます。要救助者役はすでに森林内に展開。森の静けさとヘリの轟音が対照的です。
10:30 サーチ訓練開始
機内では、隊員がココヘリ受信機を握りしめ、数値を読み取りながら「3時方向700m」と具体的に機長へ指示。機体は旋回しつつ高度を調整し、谷沿いを進みます。
電波が届きにくい谷間の地形という悪条件でしたが、ヘリは川沿いを飛行するなどルートを工夫することで、要救助者から数百メートル離れた地点で発信機の電波をとらえることに成功しました。その後、短時間で位置を割り出し、最終的に上空から目視で確認するまで至りました。
11:00 二回目のサーチ
隊員を交代して再びフライト。谷底の地形は目視確認が難しい状況でしたが、隊員が川沿いを飛ぶよう指示するなど適切に対応した結果、要救助者を発見することに成功。経験を重ねる中で磨かれた判断力と練度の高さが発揮された場面となりました。
11:30 吊り上げ救助
谷地形に加え、気流の影響で当初予定していた場所ではホバリングが難しいという悪条件に見舞われました。しかし航空隊は、安全を最優先に判断して訓練場所を変更し、代替地点にて吊り上げ救助を行いました。
航空隊員がワイヤーで降下し、要救助者役の近畿中国森林管理局職員を確保。ハーネスを装着した職員が宙に浮き、ゆっくりと上空の機体へと引き上げられていきます。緊張の面持ちも、隊員の声かけで次第に安心へと変わっていきました。
11:50 講評・解説
訓練終了後、航空隊や近畿中国森林管理局職員から講評とフィードバック。受信機の同時使用による干渉やアンテナの持ち方など課題が明らかとなった一方、迅速な発見や安全最優先の判断といった成果が共有されました。
12:15 機体見学会・訓練終了
最後に航空隊の機体を間近に見学。参加者は救助装備や機材の説明に耳を傾け、現場全体に「救助のリアル」を体感した充実感が残りました。
成果と展望
今回の訓練を通じて、ココヘリ受信機の数値を的確に読み取ることで、短時間で要救助者を目視確認できるという大きな成果が得られました。従来であれば発見が遅れるような谷間の地形でも、川沿いを飛行するなど工夫を重ねることで、数百メートル離れた地点から電波をとらえ、位置特定につなげることができました。
また、気流の影響により当初予定していた場所での救助が困難となった際には、安全を最優先に判断し、迅速に訓練場所を切り替えることで柔軟な対応力を示しました。さらに、近畿中国森林管理局職員が実際に吊り上げられる体験を通じて、救助される側の心理を肌で感じることができ、現場における理解が一層深まったことも意義ある点です。
こうした成果と課題の双方を明確にできた今回の取り組みは、航空隊・近畿中国森林管理局・ココヘリの三者が一体となった実践的な検証として大きな意味を持ちます。今後も定期的な合同訓練を重ねることで、さらなる連携強化を図り、森林での作業者や登山者の安全確保につなげてまいります。