「ココヘリは積雪期の遭難では使えない」との誤解によるSNS等での発信も多く、会員の皆様もご心配かもしれません。
しかしながら今回のケースに限らず、冬山での遭難においても夏山同様にココヘリは捜索活動を実施、遭難者の発見に至っています。
繰り返しになりますが様々な安全登山への備えはもちろん、『登山計画書の共有』と『ココヘリ発信機の携行』を忘れずに登山をお楽しみください。
万が一の際にも、ココヘリは会員の皆様を発見するために全力を尽くします。
なによりも、「1日も早く自宅に帰してあげたい」というご家族の強い思いが、公的救助機関・ココヘリ・提携民間救助機関による早期解決につながった。
通常、捜索活動においては、ヘリに受信機を搭載して捜索することが最も有効な手段である。
しかしながら強風や雨、または現場山域の雲が低い等、視界不良条件下においてはヘリが山肌に接触する事故のリスクが高まるため、公的機関、ココヘリ提携民間ヘリともに出動を見送るケースも少なくない。
ココヘリでは、数年前から主要な戦力として受信機を搭載したドローンを運用しているが、本件においても遭難者の位置特定に大きく貢献した。(本事案を含め、ドローンでの位置特定は6件目の事例)
東北は岩手山と八幡平を終えて、あとは早池峰山を残すのみでした。 ガイドブックだと距離も高低差もたいしたことなく、ほかの山を無事に登頂していたので気が緩んでいたと思います。いつものようにヤマレコ でどのくらい人が登山しているか、雪の状況などを調べると、通常の登山口は、冬季閉鎖中で林道を 10 キロくらい歩かないといけないこと。また、ヤマレコに薬師岳の記事があり、薬師岳からの早池峰山のルートがあることを知りました。林道は退屈なので山道がいいなと思い、高低差が大きいのもわかっていたのですが、山道ルートを選択しました。
朝、ホテルを出て、薬師岳登山口に7時ごろ到着しました。駐車場に車はなく、あまり人が入っていない雰囲気がしたので、やっぱり林道 コースにしようかと迷いました。しかし、林道コースまではここから車で2時間ほど。長い道のりになるなと迷ううちに、だんだん出発が遅れてきたので、家族に LINE で「早池峰山いってきます。」とだけ残して出発しました。
いつもは登山口で写真を送ったり、登山届のポストがあれば届けも出すのですが、登山ポストはなく、気があせっていました。登り始めは順調 に進みましたが、雪がついてくると踏み抜きが多く、トレースもなくなってきました。天気はよく頂上は見えるので踏み抜きながら、 苦労して薬師岳頂上へ2時間ほどで到着しました。
そこから、早池峰山を見たのですが、そこからの400mのくだり、700mの登りは、この 雪とトレースのなさでは無理だと判断し、下山することにしました。下山途中、雪が深すぎて何度もお尻ですべっているうちに、ザックの後ろのポケットにいれていた地図を落としてしまいました。さらに彷徨っているうちに沢に転落。やむを得ず、びしょびしょになりながら沢をくだるうち、気が付いたら携帯まで無くしていました。
「死ぬな」と思いました。これ以上動くと滑落の危険もあると思い、平らな場所をみつけて、救助を待つしかないと覚悟しました。5日の 11 時ごろだったと思います。天気は良くて、暑いくらいの日だったので、服を乾かし救助を待つことにしました。
ココヘリだけが頼りでした。
「ココヘリ、充電されてるかな?」と何度もシグナルを確認 していました。LINE で「早池峰山に行く」といったきり、それ以上の情報を誰にも報告していないことを後悔しました。その LINE さえ、 既読になったことを確認していなかったので、送信できてなかったかもしれないと思いました。
ココヘリは24時間365日だったはず。家族が連絡してくれるのはいつだろう、と思いながら過ごしました。薄手のダウンと雨具のジャケットを防寒具として持っていただけで、夜は寒くなりました。下山中に熊の足跡も確認していたので、熊がいることも知っていました。一晩中、連絡してくれているか、救助はいつくるか、考えていました。食料はカロリーメイトとナッツを持っていたので 3 日は大丈夫だけど、次の日の昼から天気がくずれることもわかっていたので、2 日目の夜は、この防寒では過ごせないかもしれない。
朝が来て、そろそろ助けが来るはずと祈っていました。
ヘリの音が聞こえたときは、本当にうれしかったです。早池峰山とだけ言い残して、薬師岳にいるので、ヘリの方向がなかなか、薬師岳の方向に来ないので、必死に笛をふきました。見つけてくれたあとも、降りてきてくれるか不安で必死に笛をふき続けました。 1 台目は、捜索用のヘリだったようで、2 台目のレスキューのヘリでレスキューの方がおりてきてくれました。
「歩ける?」など確認して、もううれしくて歩けるどころか、走れます!みたいな。ようやくひきあげられて、救助の方に、「よくがんばりましたね」と言われたときは、本当に感動しました。すべて、私が悪いのに、「よくがんばりましたと。」 24 時間ほど、不安と寒さに耐えましたが、「とにかく少しでも長く生き延びないと」と思って、じっとしていたので非常に元気でした。 手配して頂いていた救急車にも乗らなくても良いほどで、幸いなことに、元々予約してた盛岡からの新幹線に乗れました。
・5/5 夜 : ご家族からの通報
・5/6 朝 : 遭難者発見・救助
岩手県警航空隊がココヘリ会員証の電波を捉え、捜索開始後 30 分以内に位置特定からの救助。あと 1 時間発見が遅れれば、天候悪化で救助活動が翌日に持ち越される状況。残雪の早池峰山におけるまさに危機一髪の救助劇でした。捜索・救助活動にあたられた岩手県警航空隊・防災航空隊の皆さまには、心からの敬意と感謝を申し上げます。
※個人情報や公的機関との機密保持の観点から詳細な内容を伏せています。
東北は岩手山と八幡平を終えて、あとは早池峰山を残すのみでした。 ガイドブックだと距離も高低差もたいしたことなく、ほかの山を無事に登頂していたので気が緩んでいたと思います。いつものようにヤマレコ でどのくらい人が登山しているか、雪の状況などを調べると、通常の登山口は、冬季閉鎖中で林道を 10 キロくらい歩かないといけないこと。また、ヤマレコに薬師岳の記事があり、薬師岳からの早池峰山のルートがあることを知りました。林道は退屈なので山道がいいなと思い、高低差が大きいのもわかっていたのですが、山道ルートを選択しました。
朝、ホテルを出て、薬師岳登山口に7時ごろ到着しました。駐車場に車はなく、あまり人が入っていない雰囲気がしたので、やっぱり林道 コースにしようかと迷いました。しかし、林道コースまではここから車で2時間ほど。長い道のりになるなと迷ううちに、だんだん出発が遅れてきたので、家族に LINE で「早池峰山いってきます。」とだけ残して出発しました。
いつもは登山口で写真を送ったり、登山届のポストがあれば届けも出すのですが、登山ポストはなく、気があせっていました。登り始めは順調 に進みましたが、雪がついてくると踏み抜きが多く、トレースもなくなってきました。天気はよく頂上は見えるので踏み抜きながら、 苦労して薬師岳頂上へ2時間ほどで到着しました。
そこから、早池峰山を見たのですが、そこからの400mのくだり、700mの登りは、この 雪とトレースのなさでは無理だと判断し、下山することにしました。下山途中、雪が深すぎて何度もお尻ですべっているうちに、ザックの後ろのポケットにいれていた地図を落としてしまいました。さらに彷徨っているうちに沢に転落。やむを得ず、びしょびしょになりながら沢をくだるうち、気が付いたら携帯まで無くしていました。
「死ぬな」と思いました。これ以上動くと滑落の危険もあると思い、平らな場所をみつけて、救助を待つしかないと覚悟しました。5日の 11 時ごろだったと思います。天気は良くて、暑いくらいの日だったので、服を乾かし救助を待つことにしました。
ココヘリだけが頼りでした。
「ココヘリ、充電されてるかな?」と何度もシグナルを確認 していました。LINE で「早池峰山に行く」といったきり、それ以上の情報を誰にも報告していないことを後悔しました。その LINE さえ、 既読になったことを確認していなかったので、送信できてなかったかもしれないと思いました。
ココヘリは24時間365日だったはず。家族が連絡してくれるのはいつだろう、と思いながら過ごしました。薄手のダウンと雨具のジャケットを防寒具として持っていただけで、夜は寒くなりました。下山中に熊の足跡も確認していたので、熊がいることも知っていました。一晩中、連絡してくれているか、救助はいつくるか、考えていました。食料はカロリーメイトとナッツを持っていたので 3 日は大丈夫だけど、次の日の昼から天気がくずれることもわかっていたので、2 日目の夜は、この防寒では過ごせないかもしれない。
朝が来て、そろそろ助けが来るはずと祈っていました。
ヘリの音が聞こえたときは、本当にうれしかったです。早池峰山とだけ言い残して、薬師岳にいるので、ヘリの方向がなかなか、薬師岳の方向に来ないので、必死に笛をふきました。見つけてくれたあとも、降りてきてくれるか不安で必死に笛をふき続けました。 1 台目は、捜索用のヘリだったようで、2 台目のレスキューのヘリでレスキューの方がおりてきてくれました。
「歩ける?」など確認して、もううれしくて歩けるどころか、走れます!みたいな。ようやくひきあげられて、救助の方に、「よくがんばりましたね」と言われたときは、本当に感動しました。すべて、私が悪いのに、「よくがんばりましたと。」 24 時間ほど、不安と寒さに耐えましたが、「とにかく少しでも長く生き延びないと」と思って、じっとしていたので非常に元気でした。 手配して頂いていた救急車にも乗らなくても良いほどで、幸いなことに、元々予約してた盛岡からの新幹線に乗れました。
・5/5 夜 : ご家族からの通報
・5/6 朝 : 遭難者発見・救助
岩手県警航空隊がココヘリ会員証の電波を捉え、捜索開始後 30 分以内に位置特定からの救助。あと 1 時間発見が遅れれば、天候悪化で救助活動が翌日に持ち越される状況。残雪の早池峰山におけるまさに危機一髪の救助劇でした。捜索・救助活動にあたられた岩手県警航空隊・防災航空隊の皆さまには、心からの敬意と感謝を申し上げます。
岩手県での登山中に起きた遭難に伴う捜索事例。
登山届が確認出来ず、捜索エリアを絞り込むことができず出動まで調整時間を要しましたが、幸いなことに、捜索開始から2時間で発見救助に至りました。
登山届や登山計画は必ず準備し提出。同時に、家族や友人へも共有をして下さい。登山届には、オンラインで提出でき、各自治体・警察と連携しているコンパスがお勧めです。ココヘリも提携しています。
見通しのよい尾根筋や山頂付近以外では、携帯電話も圏外になってしまうことが多くなります。圏外エリアで遭難する可能性を前提に考えて、第三者に登山届、登山計画を伝える必要があります。
静岡県での登山中に起きた遭難に伴う捜索事例。
ご家族からの緊急連絡によりGPS情報を取得していましたが、初日の県警ヘリと消防航空隊、地上からの捜索では発見に至りませんでした。
翌日ココヘリが警察による位置情報で捜索を行いましたが、その時には既にご本人が移動をしていたため発見できず、さらに午後の捜索では天候が悪化したため中断せざる終えませんでした。
3日目に前日のGPS情報と沢へ移動しているという情報を基に周辺を捜索したところ、谷底に滑落しているご本人を発見することができました。天候不良や通報後の移動、更に電波の発信の障害になりやすい谷へ滑落など、アクシデントが重なった事で位置の特定に時間を要してしまいました。
迷ったら戻る、が登山の鉄則です。危険な道を下ったり、沢に降りてしまうと、滑落や滝への転落など命の危険に直結する事故につながります。
安全を確保し、動かずに体力を温存しましょう。登山届や家族へ伝えている場合は必ず救助が来ます。もし携帯電話の電波が繋がり、警察や消防に通報できた場合は指示に従って下さい。
その信頼性が認められ、雪山登山施設やトレイル・ランニング大会での採用が進んでいます。
義務化情報はこちら >
提携ヘリ会社とは、さらに早く、確実に発見するための捜索訓練を定期的に実施。実際の山岳エリアで、様々な状況を想定して訓練しています。
詳しく見る >
※捜索者発見案件内比率
捜索を開始してから、40%が60分以内、86%が3時間以内での発見を実現しています※。生死を分ける「72時間の壁」を大幅に下回る捜索時間です。
さらに、48%の案件で遭難者を生存状態で無事に発見。残り52%の案件の遭難者の方については、大変残念ながら滑落や雪崩等の事故でお亡くなりになられていましたが、ご遺体をご家族のもとへ、行方不明になってしまう方を一人でも少なくすることへお役立ちしました。
※捜索開始後の時間。事故が発生してからではありません。
捜索者発見案件内比率。発信機不携帯、電源入れ忘れ等の案件は除く。
誰にでも起こりうる「道迷い」が「滑落」の次に多い要因となっています。
2019年は総遭難者2,937件に対し、ココヘリの捜索案件は15件でした。一人でも多くの命を救うことができるようココヘリの普及活動を進めていきます。