ココヘリは、会員様の早期発見を実現しています。
ところが、会員証(発信機)の電波を受信できなかった事例が発生しました。
2022年に捜索対応をした6件のうち1件の事例で電波を受信できない事例が発生しました。詳しくは後述しますが、発見の可能性を高めるため会員の皆さまへのお願いです。
いかなる時も「体の下敷きにしない」
会員証(発信機)はザックの雨蓋や、ショルダーストラップの上面など、たとえ倒れたとしても体が覆い被さらない位置へ設置ください。
捜索の経緯
ホワイトアウトで動けずビバーク。体力的に厳しい状況と連絡。
- 17:00 所属山岳会へ、「ホワイトアウトで動けずビバーク。体力的に厳しい状況」との連絡。
- 21:00 警察の山岳警備隊からの要請で、ココヘリへの連絡。
- 21:50 明朝の捜索のために体制準備。(ヘリコプター、捜索オペレータの準備)
県警(航空隊、防災ヘリ救助隊)と連携、遭難者のココヘリIDを共有。
- 08:30 ココヘリ捜索ヘリコプター、捜索オペレーター出動スタンバイ、待機。
- 09:00 県警ヘリ出動(ココヘリ受信機配備済)
- 11:30 県警ヘリ帰投。
- 14:35 県警ヘリ再捜索も発見できず帰投。
- 14:45 ココヘリ捜索ヘリコプター出動。現地での捜索。
- 16:25 発見に至らず帰投。
翌日、再捜索も発見に至らず、その後地上部隊により発見。
- 07:30 県警ヘリ出動(ココヘリ受信機配備済)
- 09:00 ココヘリ捜索ヘリコプター出動スタンバイ。
- 09:15 天候悪化と県警要請により出動待機。
- 16:46 地上部隊が遭難者を発見、収容。
深さ50cmほどの雪洞の出口付近、うつ伏せの状態。
会員証携行、動作状態だったことが判明。
- 会員証(発信機)は小物ポーチの中に収納されており、電波を正常に発信する動作状態でした。
捜索再現検証
雪洞の中でザックを身体の下に敷いた状態での検証雪洞での検証実験
会員証携行にもかかわらず、受信機を搭載した県警ヘリ、ココヘリ捜索ヘリが発見できなかった事実を受け、ココヘリでは捜索の再現検証を行なっています。状況再現として浅い雪洞を掘り、会員証(発信機)を小物ポーチに入れ、さまざまな姿勢で電波がどれだけ減衰するかを確認しました。
身体の下に会員証(発信機)があり、電波が弱まった恐れ
検証の結果、身体が覆いかぶさった状態ではやはり電波の減衰が非常に大きいことがわかりました。
捜索手段の多角化による、捜索体制の強化
対策として、捜索手段の多角化による、捜索体制の強化をさらに推進します。初回捜索で反応がない場合、2回目の捜索と並行してココヘリドローンチームや地上部隊での捜索を並行して行います。上記の図のように例え会員証(発信機)の電波が遮られている状況でも多角的なポイントから捜索を行うことで、発見の確度をさらに高めていきます。
会員証(発信機)携行方法についてのお願い
いかなる時も「体の下敷きにしない」
検証の結果、身体が覆いかぶさった状態ではやはり電波の減衰が非常に大きいことがわかりました。
会員証(発信機)はザックの雨蓋や、ショルダーストラップの上面など、たとえ倒れたとしても体が覆い被さらない位置へ設置ください。
※ストック等に付ける場合、冬季はバッテリー消耗が高まるため、雪洞の外ではなく、中に設置ください。
追加検証と対策の実施
今後もドローン・ヘリコプター等で実際の状況に近づけた追加検証を行い、原因究明に努め、特定された原因に対応する捜索体制の強化や捜索オペレータのトレーニング実施など、会員の皆さまの命をより高い確度で守るための取り組みを強化していきます。
多発する冬山遭難。2022年2月に発生した5件の事案での捜索協力を行いました。
ココヘリ捜索実績