【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。


vol.51 お仕事の延長で山と出会った河村さん。悪沢岳の稜線で芽生えた想いから始まり、登山・クライミング、そして登山道整備へと山とのかかわりを広げてこられました。彼女を見守るお姉さまとの姉妹の休日にお邪魔しました。


河村さんが最初に山に出会ったのはお仕事だったそうです。「テレビ局の記者として、高校生による鹿柵設置の取り組みを取材したんです。少し時間ができ、せっかくなのでと足を延ばしたのが悪沢岳でした。富士山以外で本格的な山に登るのは初めてでしたが、山頂に立った瞬間に見た景色がすべてを変えました。もう本当に綺麗で。青い空の下、稜線がそのままずっと次の山へ続いていくのが見えて、このままその先まで歩いていきたいと思ったんです。その日は仕事の延長だったので、実際にその先に行けないのがすごく残念でした。下山後もその景色が頭から離れず、あの稜線のことを考えていました」と河村さんは振り返ります。気づけば休日の予定は山になっていて、3か月後には槍ヶ岳への挑戦を決めていた河村さん。「初めてのアルプスで不安もありましたが、ガイドの方にゆっくりでいいから進めば必ず山頂に着くと言われて、その言葉にすごく勇気をもらいました。標高を上げるにつれて空気や景色が変わっていく感覚、山頂に立ったときの達成感。悪沢岳で感じたその続きを、自分の足でつなげられた気がしました。その経験が、山の世界へ深く入り込むきっかけとなりました」と河村さん。
「今はもう山が生活の中心に。夏は南・北アルプスなどに行き、普段は近郊の山でトレーニングしています。短い時間でも、山に入ると気持ちがリセットされるんですよね。最近は冬場の低山でトレイルランニングも取り入れて体力維持に努めています」と河村さん。

「私は冬山よりも、新緑の匂いや岩肌の迫力に強く惹かれます。大きな岩肌のごつごつした感じとか、圧倒的な大きさが好きです。大きな自然の中で、コツコツと頑張ると必ず頂上に辿り着く。そういうのが好きですね。」とおしゃっていました。 河村さんの山との関わりは「登る」だけではありません。「登山道整備のワークショップに参加したんです。最初は軽い気持ちで参加したものの、実際に道を整え、土を運び、階段を作る中で意識が変化しました。仲間たちと一緒に力を合わせて階段を作り、出来上がっていくのを見ながら達成感を感じました。山登りは、山を少しずつ壊しながら進んでいるんです。1歩1歩は軽いけど何百人が登ると削れてしまう。それを知ってから、山に登りながらも一方で山に対しても良いことをして恩返しをしたいと思い、地元で登山道整備の活動を始めました」と話す河村さんは、自ら「しずおか山守隊」を立ち上げ、今では50名ほどになった仲間とともに継続的に活動しているそうです。

そんな河村さんにココヘリ入会のきっかけについて伺いました。「安全への意識は、記者時代の経験が大きいと思います。遭難事故を数多く取材する中で、装備不足や連絡不足とその背景にある現実を見てきました。だからできる限りの備えをすると決めています。防寒具や雨具などの非常時を想定した装備に加え、位置情報アプリやココヘリなど、複数の手段を併用しています。いろいろ備える理由は明確です。「万が一のときでも、やれることは全部やったと言える状態でいたいんです」と河村さんはご自身の経験をふまえてそうおっしゃっていました。



「山に行くときは必ず姉に連絡しています。出発時、登山開始、山頂、下山。それぞれのタイミングでLINEを送ることが習慣です。自分も安心できますし、姉も見守ってくれていると思います」と河村さん。お姉さまにお話を伺うと、「ココヘリがあるので、万が一のとき、どこへ連絡すればいいか分かっているのは安心で、心強いです」とおっしゃっていました。「備えは、自分だけじゃなくて家族のためにも必要なのだと感じます」と河村さんはおっしゃいます。

これからの目標について伺いました。「登山道整備の活動をもっと広げていきたいです。原点ともいえる南アルプスの北側には既に活動している団体があるので、私たちは南側にも広げていきたいと思っています。昨年はその第一歩として茶臼岳で活動をしました。記者として培った知識と行動力を生かして、行政や企業とも連携しながら少しずつ形にしていきたいと思っています。山を壊さない歩き方を伝える活動も行っています。「知ってもらうことで、登り方も見え方も変わると思うんです。山を楽しみながら、山にお返ししていく。その循環をもっと多くの人に届けたいですね」と河村さん。
山に魅せられ、歩き続けながら、山に返す。
その歩みのそばには、常に無事に帰るための備えがあります。
河村さんの山への想いとご家族を思うその歩みに、ココヘリは寄り添いつづけます。
#ココヘリ