【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。
vol.42 電車の運転士として山に向かう人々を運びながら、ご自身も山で過ごす時間や人々との出会いを楽しんでいらっしゃる油井さん。そんな油井さんとご家族の休日にお邪魔しました。
もともとはカヌーや川遊びを中心にアウトドアを楽しんでいた油井さん。山との出会いは、海外旅行が天候の都合で中止になり、その代わりに訪れた屋久島でした。「それまで山に登ることは意識していませんでしたが、屋久島の森や空気、自然のスケール感に圧倒され、山っていいなと思うようになりました。そこから少しずつ山歩きに興味が移り、妻と二人で登山をするように。今では月に数回のペースで山へ出かけています。富士急行の電車運転士として、登山者を乗せて富士山方面へ向かう列車を運転しながら『今日はいい天気だな、自分も登りたいな』と思うこともしばしば。休日には鉄道と登山を組み合わせたツアーやイベントを企画しています。車両を貸し切って山の話をしながら目的地へ向かい、下車後にハイキングを楽しむ「フォトハイキング」、「地図読み講座」などを実施。また、沿線の山の魅力を伝えるガイドブックの自主制作にも取り組み、登山、企画、制作を日常的に続けています」という油井さん。
油井さんの登山スタイルについて伺うと、「一人で山に行くこともあれば、家族で高尾山に登ることもあります。娘と自然に触れる時間は特に大切にしています。山小屋に行けば『あの人に会えるかな』と感じることもあり、人との出会いも山の魅力ですね。山でのさりげない交流は温かく、そうした魅力を伝えるために友人や家族を山に案内する機会も増えていきました」とおっしゃっていました。
山に向かう際、油井さんが最も意識しているのは「時間の管理」だそうです。「仕事柄時間に対する感覚は厳しく、常に早めの行動を心がけています。無理のないスケジュールと余裕を持つことでトラブルを防ぎ、装備も欠かしません。レインウェアやヘッドライト、救急セットといった基本装備に加え、ココヘリの発信機をザックに取り付け、発信状態の確認も忘れません。娘が「緑のランプ点灯してる?」とチェックしてくれるのも、日常の安全ルーティンになっています。山では自然に没頭する時間が多い一方、「この景色なら家族でも楽しめるな」「ここなら子どもでも歩けそうだな」と思う瞬間には家族の顔が浮かびます。逆に「ここは連れてこない方がいいな」と判断することもあり、場所によって家族と共有したいかどうかを考えるのも登山の大切な視点です」とおっしゃっていました。
そんな油井さんのココヘリ入会のきっかけは奥様の勧めでした。「入会のきっかけは妻から『ココヘリに入ってほしい』と言われたことです。当時私は行き先を伝えずに山へ出発してしまうことが多く、妻から『どこに行ったのか分からない、何かあったらどうするの?』と注意されることもしばしば。その中でココヘリなら万が一のときに居場所が分かるから安心だと提案され、入会を決めました。今では出発前に「緑のランプ点灯してる? 充電した?」と確認し合うのが家族の習慣に。鉄道会社の社員としても、安全への配慮を形にする必要性を強く感じています。妻はココヘリの仕組みを調べて理解してくれて、山に行くこと自体は止めないけど、必ず無事に帰ってきてねと送り出してくれます。それは私にとっても大きな支えです」油井さんにとって、ココヘリは「お守り」のような存在なんだとか。「実際に使う場面が来ないことが一番ですが、いざというときに確実に見つけてもらえる手段があることは家族の安心につながり、自分自身の行動も自然と変わっていきました」とおしゃっていました。
油井さんは現在、富士急沿線の駅ごとに「この駅からこの山へ」と紹介する冊子『駅から登れる山ガイド』の制作に力を注いでいらっしゃいます。すでに10コース以上を作成なさったそうです。また、登山アプリ「ヤマレコ」で「富士急トレイル」というアカウントで情報を発信中で、「見た人がここに行ってみたい」と思えるように、写真やチェックポイントの説明文にもこだわっていらっしゃるそうです。是非ご覧ください。
写真、企画、登山、鉄道、そして家族。さまざまな要素が自然とつながりながら、山の楽しさを多くの人と共有し続ける油井さん。これからも油井家の「山のある暮らし」に、ココヘリは寄り添っていきます。
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