【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。
vol.43 新婚旅行がスイスの山だったという、山を愛する伊藤さんご夫妻(タツさんとアキさん)。タツさんは愛車の洗車をしたり、アキさんは趣味の和装を楽しみながらも、休日の多くを山で過ごすというお二人の休日に邪魔しました。
アキさんが山と出会ったのは、まだ幼いころ。「関西出身で、最初は六甲山に登ったのが始まりだったと思います。自然が好きな両親の影響で、気がつけば山に連れて行ってもらっていました。小学生のときには長野県の山村に三年間留学しました。村の子どもたちと虫を捕まえたり、ランドセルを踏み台にしてアケビを採ったりと、自然の中で遊ぶことが日常でした。自然の中にいることが特別ではなく、生活の延長線上にあったんです」とアキさん。一方タツさんの登山のきっかけは富士山。「会社の仲間と“せっかくだから日本一高い山に登ろう”という軽い気持ちで挑戦したのが最初です。富士山をきっかけに屋久島にも行き、テント泊をしながら自然の雄大さに触れるうちに山に夢中になっていきました。最初は仲間と登っていたものの、次第に自分のペースで自然と向き合いたいと感じるようになり、一人で山を歩く時間も増えていきました」とタツさん。
そんな二人が出会ったのも、やはり山でした。「山で同級生に似ている人を見かけて、思わず声をかけたのが最初でした」とアキさん。その何気ない一言がきっかけだったそうです。その時アキさんと一緒に登っていた山仲間のレイコさんを通じてお二人の仲は深まっていき、常念岳や唐松岳など、北アルプスの山々を一緒に歩くようになったそうです。「冬はスノーボード、夏は登山。私たちはデート=山です」と笑うアキさん。
共通の趣味があったからこそ自然と距離が縮まり、やがて結婚することになったそうです。そして、結婚後の新婚旅行先に選んだのは、スイスのアルプス。「せっかく長い休みが取れるなら、自分たちらしい旅をしたいと思って。以前、ココヘリ登山学校の海外編で、近藤謙司さんのスイスからの配信を見て、日本一高い富士山よりも高い山へ登ってみたいと思っていたこともあり、ココヘリ登山学校から届いた海外編の案内を見てこれだ!と決めました」とタツさん。なんと新婚旅行がココヘリ登山学校の海外編!現地では鉄道やロープウェイを乗り継ぎながら、雪を頂く山々を眺め、4,000m峰を共に登頂したメンバーと楽しい日々を過ごしたそうです。「その時出会った登山学校の仲間たちは、北海道・岩手・栃木・東京・静岡・愛知と住んでいる場所はそれぞれですが、いろんな登山の企画をして交流を続けています」とおっしゃっていました。
季節を問わず、ふたりの週末はほぼ山の中。「夏はテント泊や縦走、冬はスノーボード。先春からはスプリットボードを購入してバックカントリーにも挑戦しています。先春は思うように滑れなかったので、次こそリベンジです」とアキさん。山にいる時間は、心を整え、互いの絆を深める大切なひとときだとおっしゃいます。「山の楽しみは、景色と山ごはん、そして山で飲むビール!」と笑うタツさん。すかさず、「山小屋に生ビールがあるかどうかは必ずチェックしています(笑)」とアキさん。自然の中で過ごす時間が、ふたりの暮らしの中心にあるようです。
そんなお二人が、登山で何より大切にしているのは「無理をしない」こと。「天候が悪ければすぐに引き返す。山は逃げませんから」とタツさん。「もちろんレインウェアは必ず持っていきますし、登山届は必ず提出するようにしています。冬山ではビーコンを携行します。もちろん、ザックにはいつもココヘリの発信機が入っています」とアキさん。「万が一のとき、すぐに見つけてもらえる仕組みがあるのは本当に心強いです。二人ででかけるので、山に行くときは両親に伝えているのですが、こういったものがあると安心できると思っています」とお二人はおっしゃっていました。ココヘリは、ふたりにとって“安心して山を楽しむためのパートナー”になっていました。
そもそもタツさんがココヘリを知ったのは、お二人を繋いだ山友達のレイコさんがきっかけ。「彼女から教えてもらって、すぐに必要だと感じ入会しました」と話します。アキさんは、「もともと両親も山へ行くのでjRO(日本山岳救助機構)に加入していました。私も両親に言われて加入していたのですが、ココヘリとの統合を機にココヘリ会員になりました」とアキさん。「ココヘリを持つことで、自分たちだけでなく家族も安心してくれる。もしもの時、捜索の時間を短縮できる可能性があるというのは大きいです。山は自然と共にある場所だからこそ、備えも一緒に持って行きたい」と話す伊藤さんご夫妻。
お二人がこれから訪れたいのは、九州や北海道などまだ見ぬ景色の多い地。「山に登ると、自然だけでなく人とのつながりも広がります。どんな場所に行っても山があれば楽しい。これからもふたりでいろんな場所を訪れ、山で楽しみたいです」とほほ笑むアキさん。山を通じて出会い、山で育まれた絆。これからも、ココヘリはおふたりの大切な時間を見守り続けます。
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