水蒸気のエネルギーを熱に変える

2023-07-11

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汗が蒸発すると体温が奪われてひんやりと感じます。このときに奪われる熱を「気化熱」と呼びます。逆に、水蒸気は液化して水になるときに熱を放出します。この熱を「凝縮熱」と呼びます。吸着熱とは、繊維の一部に水蒸気が吸着したときに放出される熱のこと。凝縮熱が発生するのと同じようなメカニズムで、吸着によって水蒸気の動きが止まることでその中にあった運動エネルギーが熱として放出されます。天然繊維の多くはこの吸着熱を発生しますが、なかでもウールは発熱量が大きい素材です。余談ですが、冬になるとTVCMが増える温かいことが売りのファストファッションの下着も吸着熱を利用しています。こちらの下着で吸着熱を出すのは、素材の一部に使っているレーヨンです。安価で入手しやすいのが魅力の製品ですが、レーヨンはコットンと同じく吸水性があり、乾きにくいのが難点です。ポリエステルも使っていますが速乾性があるとはいえず、むしろ汗を吸った生地が肌に張り付くことで汗冷えするリスクがあるため、山での着用はおすすめしません。