古くて新しい天然素材

2023-07-11

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ポリエステルなどの化学繊維が今のように一般的になる前は、とくに気候が厳しい冬山登山のベースレイヤーには、“濡れても温かい”ウールを選ぶのが常識でした。その後、高機能で比較的安価な化繊が市場を席捲し、それに押しやられるようにウールは一時期姿を消してしまいましたが、1990年代半ばになって復活します。ウールが見直されるようになった要因はふたつ。ひとつはメリノウールの採用です。従来のウール製品に使われていた羊毛繊維が30〜40ミクロン*程度であったのに対して、現在のベースレイヤーに使用されるメリノ種の羊毛はおよそ20ミクロン以下と極細で、従来の「重く、硬く、チクチクした」着心地は、「軽く、柔らかく、滑らかなもの」へと大きく改善されました。もうひとつは防縮加工の進化です。薬剤によってスケールを取り除いたり、コーティングすることによって簡単にはフェルト化せず、自宅で気軽に洗濯できるようになりました。現在のウール製品は、最新の技術によって甦った、“古くて新しい”天然素材といえます。 ( *1ミクロンは1/1000ミリメートル)